日本にいながら、ルーヴル美術館の彫刻を一堂に鑑賞する事が出来る?
そんな美術館が、三重県の長閑な山の中にあるのです。
その名も「ルーブル彫刻美術館」。
ヨーロッパ好き、フランス好きの方にとっては、自由に海外へ出る事が出来ない昨今において「ルーブル」と聞くと胸が熱くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
おフランスの方は「ルーヴル美術館」と表記するようですが。
しかも、ルーヴル美術館に交渉して、ルーヴル展示の彫刻から型を取っていて作成されたものばかり。
本家ルーヴルさんからお墨付きの美術館です。
❝ 竹川勇次郎氏が日本国に当ルーブル美術館の姉妹館を建設されるにあたり、当館史上初めて門外不出の展示美術彫刻作品の実物から直接型を取り、当館の技術陣がその総力を結集して完全復刻に当たりました。
「ミロのビーナス」「サモトラケのニケ」をはじめとする世界美術史上超一級の彫刻作品ばかりが選ばれています。
これまで門外不出だった彫刻美術の美しさは、きっと多くの人々の心を魅了するに違いないと確信いたしております。
ルーブル美術館とフランス国立美術館連盟より、今回初の特典を受け、この歴史的事業を完成されてフランスと日本の文化の絆を深めるのに貢献されたルーブル彫刻美術館の竹川館長に感謝いたします。❞パリ・ルーブル美術館 館長室にて
ルーブル美術館 館長・国立美術館連盟 理事長
ユベール・ランデ引用元:ルーブル彫刻美術館ホームページ
「ミロのビーナス」「サモトラのニケ」いますよ。
「自由の女神」もいますよ(笑)
しかも何体も、大きいのもそうでないのもいますよ・・・・
施設名 | ルーブル彫刻美術館 |
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住所 | 〒515-2621 三重県津市白山町佐田東谷1957 |
電話 | 059-262-1111 |
開館時間 | 午前9:30~午後5:00(入館は午後4:30分まで)。 |
最寄り駅 | 近鉄 榊原温泉口駅から徒歩5分 |
アクセス
自動車の場合
大阪・京都・奈良方面から | 名阪国道上野東ICから青山経由、国道165号線で榊原温泉口へ |
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名古屋方面から | 名阪自動車道、伊勢自動車道を通り、久居ICから国道165号線で榊原温泉口へ |
電車の場合(近鉄線榊原温泉口下車)
大阪方面から | 近鉄上本町駅より特急で約1時間15分 |
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奈良方面から | 近鉄八木駅で特急に乗り換え、約1時間10分 |
京都方面から | 近鉄京都駅より特急で八木駅乗り換え、約1時間45分 |
名古屋方面から | 近鉄名古屋駅より特急で約1時間15分 |
伊勢島方面から | 近鉄賢島駅より特急で1時間30分 |
駅から徒歩5分というのも過言でないほど、迷わなければ美術館からは近く、地方の施設にしては珍しく電車で行っても問題ないアクセスです。
急行を利用しても、名古屋からは1時間40分くらいだったでしょうか?
一時間も差があれば考えものですが、タイミングとお財布の状況で、特急と急行どちらかを利用してみてはいかがでしょうか。
チャラチャラした都会人にとっての地方でのお約束その1、時刻表は必ず写メに撮るなり、気をつけましょう。
この出口を右に真っすぐ歩きます。
間近でみると、結構な迫力です。
巨大「サモトラケのニケ」が神々しくて、私は好きですね。
「自由の女神」が霞んでしまう。
って、「自由の女神」ってルーヴルとは関係ないけど、まぁいいか。
次来たときは、夜の長い季節の暗い時に撮影してみたいです。
絶対に美しいはずです。
結構気に入っている1ショットです。
実は、先ほどのニケ達の建物の裏だったのです。
正門へ向かうために、横の道を歩き進めましょう。
三角形はルーヴル美術館を模したデザインなのでしょう。
因みに、建物は黒川紀章設計事務所によるものです。
建築が好きな方なら、建築鑑賞も楽しめて一粒で二度美味しいですね。
チケット購入
気を取り直して、チケットを購入しましょう。
チケットに関しては、年齢や前売り、観音寺と共通チケット、割引チケットなどあり金額が様々なので、私が購入したパターンでお話を進めます。
通常は大人1500円で、大観音寺と共通チケットが2000円。
支払いは、現金かペイペイのみです。
何でもカードで払いがちな、チャラチャラした都会人のお約束2。
カードは使用不可です。気を付けましょう。
前売り券は、来場日1週間以上前に購入しないといけなかったり、公式サイトに割引券がついているので、一度確認される事をお勧めします。
ルーブル彫刻美術館公式サイト:開館情報と入館料
見ごたえありすぎる展示物の数々
入口からの衝撃
ツタンカーメンも良いけど、後ろにも盛りだくさんの彫刻があります。
また、ニケがおる。
館内は写真撮影は可能ですが、携帯電話の使用(通話の事と思われる)は禁止です。
入口
実にバラエティーに富んでいます。
素人考えですが、内装は、福井の恐竜博物館と似た雰囲気を醸し出しています。
素晴らしいコレクションの数々、これからはジャンル分けして、ご紹介していこうと思います。
世界最大の千手観音菩薩
おそらく、ルーヴル美術館には展示されていないと思うのですが、こちらルーブル美術館の一番目立つ場所に鎮座しているのが、十一面千手観音菩薩像です。
実際に千本手があるのは珍しいそうです。
後ろまで、ちゃんと手があります。
入口からすぐ目に入る作品ですが、間近で拝見するとかなり迫力がありますので、是非近寄ってご覧になって欲しいです。
ミロのビーナス
ルーヴルと言えば外せない作品です。
前からも後ろからも惜しみなく間近で拝見できるのは有難い話です。
勿論、ルーヴル展示品から型をとったものですから、精巧なレプリカです。
サモトラケのニケ
ニケが「勝利の女神」とは初耳でした。
勿論、こちらも屋外のニケと違い、ルーヴルで型取りされた精巧な実物大レプリカです。
私はこの作品が一番好きです。
この時、ある若いカップルがこの作品を見ていて、男の子の方が「ぼく、この作品が一番好きなんだ。」と言っていたときに、女の子の方が「なぜ?よく分かんない。」と言うような返しをしていたのです。
「彼氏、この子やめた方が良いよ。別に可愛くないし。」と、思ったのも言うまでもありません。
彫像の間からですが、遠くにニケの後ろ姿を見る事ができます。
けっこうお気に入りのアングルです。
ヴェルヴェデーレのアポロン
こちらはヴァティカン宮殿に展示されています。
ミケランジェロ/抵抗する奴隷・瀕死の奴隷
反乱を起こした奴隷「スパルタカス」
古代の彫像に多くみられる奴隷たち。
その中でも、大変こころ惹かれたのが「スパルタカス」です。
サーカス様に、見世物として猛獣や人相手に生きるか死ぬかの戦いをしないといけないなんて、奴隷に生まれてしまったら、普通に亡くなるよりも辛い運命が待っているのかと思うと、世の不条理を感じずにいられません。
70人ほどの奴隷仲間から、9万人ほどの集団になって当時大帝国だったローマを荒らしたなんて、想像つかない反乱ではあり、結局は殺されてしまうのだけど、一人一人の気持ちが一つになった時のパワーは計り知れないと感じた作品です。
円盤投げ像
イケメンマッチョ裸体鑑賞枠として、続いて円盤投げ像です。
先ほどの奴隷像もですが、鍛錬された身体は美しい。
ボルゲーゼの剣闘士
躍動感あふれる素敵な作品なんですが、後ろにある千手観音の顔がとても怖いです・・・・
螺旋状の階段が入り込んでいるのは大変気に入っているのですが。
実物大のナポレオンのデスマスク
こちらは、ルーヴル美術館ではなく、フランスのマルメゾン城に展示されています「ナポレオンのデスマスク」です。
ナポレオンのデスマスク横顔
セントヘレナで亡くなった時に、医師が実際に採ったデスマスクのレプリカですが、やはり顔が小さくて鼻が高くかっこいいですね。
容姿に難があったとか言われてましたが、私達「顔平たい族」なんかと比べたら、充分お綺麗な顔です。
モーゼ
有名なミケランジェロのモーゼ。
宗教と芸術作品というのは密接だと感じる作品ですね。
因みに、ローマサンピエトロインヴィリンコリ聖堂所蔵です。
美しき王妃、ネフェルティティ
3000年経ってから、色鮮やかな状態で発掘されたのも、古代エジプトの三大美女の意地かと思われるほどの軌跡ですし、左目が無いのも「不完全の美」として怪しく美しく感じました。
ガラスケースに入っていると上手に写真が撮れないから、せっかくの素敵な作品もこんな写真しかないのが残念で、美術館のブログを貼っておきます。
彼女の名、ネフェルティティは、「美しい人(ネフェル)が訪れた(ティティ)」と解釈され、クレオパトラ、ネフェルタリと並んで「古代エジプトの3大美女」とよばれています。彼女は、エジプト新王国時代の第18王朝のファラオであったアクエンアテンの正妃であり、ツタンカーメンの義母(ネフェルティティの娘がツタンカーメンと婚姻)にあたります。
ネフェルティティの胸像は、ベルリン美術館の作品群の中で最も有名な胸像で、1912年、アマルナ王宮の彫刻家トトメスのアトリエ跡から発見されました。 三千年の歳月を感じさせない色彩の美しさは驚異的で、エジプト史上でも最高傑作の一つとされています。 また彼女の左目がない理由として、胸像を発見した当初、胸像の左目にはめ込まれていた石英が落剥したと考えており、アトリエ跡を捜索したが左目の石英を発見することはできなかったとされています。引用元:ルーブル彫刻美術館ブログ
ジャンヌ・ダーク
ジャンヌ・ダークに関しては美化する人もいればそうでない人もいる。
今の戦争は知らないけれど、当時は戦争作法があり、それを知らない田舎娘が一方的に無視したために戦いに勝ったという話もあるし、「ただの田舎娘」と言って良い目で見られなかったという話もあります。
ただ「平和」を語るうえで、ジャンヌダルクを語るのは有効なのかもしれませんね。
その殿方で大丈夫?アモールとプシケ
ビーナスの子供アモール(美少年と想像される)が絶世の美少女プシケに恋をして一緒に暮らすも、アモールはプシケに寝顔を見られただけで怒って捨ててしまったなんて、なんてク〇男なんだと感じるのは私だけでしょうか?
美しい男性の寝顔はうっとりするほど可愛いですし、プシケは見とれてしまったのだと思います。
生まれてくる子供は美しいでしょうが、プシケの為によりを戻す必要はないのでは?
母子像たち
母子像が多くの芸術作品の題材になりますし、どの作品も美しくて癒されるものばかりです。
素敵な母子像が多くありましたので、ご紹介します。
なぜか自由の女神
屋外にもいらっしゃいましたが、自由の女神もありました。
こちらはフランスがアメリカに送った自由の女神の原型で、パリのリュクサンブール公園に建っている像のレプリカです。
自由の女神はアメリカのイメージが強く、ルーブルなのに何故自由の女神?と違和感がある方も多いでしょうが、このような理由からですね。
ロゼッタストーン
ロゼッタストーンは大英博物館所蔵です。
上段・中段・下段で使用されている文字が違うようです。
接写した写真の文字は、下段のものだったと思いますが、アルファベットとも似ています。
壁画たち
ペルシア王族親衛隊の射手 紀元前521-485年頃現代社会では「射手」という仕事はほとんどの先進国では存在しませんが、「射手座」という言葉は馴染み深いと思います。
「射手座」の方はアグレッシブな性格だとか、思い切りが良いと言いますが、「射手」の闘争心溢れる性格から来ているのでしょう。
そんなに強いアッシリア人の子孫は何人かと気になって調べてみたら、イラク、トルコ、シリア、イランの方々のようです。
何かと民族間の問題、迫害もあり、現在はヨーロッパやアメリカにもコミュニティが作られているようです。
アッシリア人 引用元:wikipedia
ニンフは、パリのイノサン財団所蔵です。
やはりこうやって見て行くと、戦士よりも女性をモチーフにしている作品は美しいですね。
胸像たち
見覚えのある顔も多いのではないでしょうか。
古代エジプトの世界
小さな展示物
ルーブル美術館所蔵だけでなく、アメリカのメトロポリタン美術館など様々な美術館の作品が展示されています。
動物モチーフなどは可愛くて、部屋に飾っても違和感のないものもあり、一つ一つをじっくり拝見していても飽きない作品たちです。
お食事処
徒歩でも行ける距離に、美味しく頂ける和食処がありました。
田舎とは言え、全くお食事処がないのは心寂しいもの。
大変安心しました。
そして、コスパ最高で感じのいいお店でした。
ご飯は白ご飯、ごぼうとお肉の炊き込みご飯を追加料金なしで選べるのです。
しかも食後のドリンク付き。私はアイスコーヒーを頂きました。
お客様は地元の会社で働いているオジサマが殆どの様な感じです。
美味しく平らげました。
物販
パリのルーヴル美術館で販売しているものを売っているようです。
良いお値段ですが、国内で購入できるのであれば、コレクターにとっては嬉しいポイントでしょう。
内装デザインと感想
黒川紀章設計事務所作品と言う事で、そういう面でも楽しみにして行った美術館でした。
美術館の真ん中に千手観音菩薩を配置しようと考えたのも、設計事務所の考えだったのかは分かりませんが、大胆で面白いデザインです。
屋外の像のインパクト、仏像と西洋美術の融合で「とんでも美術館」の扱いを受けがちですが、大変見ごたえがありますし、雨の日、猛暑の日、寒い日、天候に左右されない美術館は大変おススメです。
今年の夏は、こちらの穴場美術は如何でしょうか。
おとなりの大観音寺も訪問していますので、よろしければこちらもご覧ください。